第七話〜つかの間の平凡〜
「これに着替えてください。」
リビングに集合した俺たちは、ルナにそう言われた。
「うん。」
「わかった。」
「えー、私さっき着替えたばっかなのにー。」
素直にうなずいた、俺と孔児に対して、さっき着替えたばかりの涼子はうなだれた。
「まあまあ、そう文句言ってないで、着替えろよ。」
やっぱり、いつもどおり俺が、涼子のなだめ役だ。
「あーい。わかりましたぁ。」
「よし、それでいい。」
(まったく、素直にさいっしょっからそう言えばいいのに。)
『あんたも苦労してるねー。』
『まあな。』
もうこんな、斥華の突然の突込みにも慣れてきた。
『あっ、そういえば目をつぶらないでも喋れるようになったな。』
『うーん、ていうか、さいっしょから、目をつぶる必要なかったのよ。』
『えっ、マジ?』
『マジ。』
くっそー、かなりはずいじゃねーか。
『あの糞猿。今度出てきたら、一発、はたいてやる。』
『でもあの猿、相当強いわよ。』
『そうなのか?』
『えぇ。少なくともあんたよりわね。』
『そうか。』
(意外だな。)
『まぁ、何でも見かけで判断しちゃいけないって事よ。』
『あぁ、わかった。』
そうやり取りしてるうちに、全員が着替えた。
「今更だけど・・・絶対、これ、“変”だよな・・・」
家から出てすぐ、俺が、ルナに聞こえないように、静かに孔児に言った。
ちなみに、今の俺たちの服装は、
俺と孔児は、青い布生地の服と、薄茶色の短パン、
ルナと涼子は、ワンピースだった。
涼子は、普段絶対に着ないワンピースを無理やり着せられて、膨れている。
「――そうか?俺はゲームみたいで好きだぜ。」
ちょっと考えた後に孔児が返事をした。
「はぁー。」
何で俺の周りにはちょっと(てか、かなり)変な奴らばっかなんだ。
「どうした?ため息なんかついて。」
「いや、何でもない。それよりそろそろ行くぞ。」
そういって、止まって喋っていた俺たちは、離れていた二人に向かって、走り出した。